組合員活動報告
理事研修 「コウノトリはぐくむお米」
道中のたんぼは稲刈りを待つばかりの黄金色で畔には真っ赤な彼岸花。
美しい!実りの秋を全身で感じながら豊岡市に着きました。
「JAたじま」で農業倉庫見学
通年12~13℃に保たれた農業倉庫で、玄米の状態で保管し、注文が来てから精米して出荷されるとのことです。扱っているお米は19種類。無農薬や減農薬など細かくラベル分けし、間違いが無いように注意深く保管されていることに感激しました。
コープ自然派でも扱っている無農薬のお米は200項目ものチェックをパスしたお米だそうです。
但馬周辺では3月頃に苗作り、5月頃に田植え、9月頃に稲刈りをされるそうです。
稲を刈った後の乾燥はより天日干し近いようにカントリーエレベーターの中で送風で2,3日かけて乾燥するそうです。
有機農家の方が年々増えているとお聞きして、嬉しく思いました。
圃場で、生き物調べ、稲刈り体験
「コウノトリの郷公園」のある瑞雲寺地区の圃場に移動。
近づくにつれ、サギなどの鳥もたくさんいる中にひときわ大きな鳥が空を舞っているのが見えるようになり、感激。
無農薬の田んぼで稲刈り体験と生き物調べをさせていただきました。
水が抜かれた田んぼには雑草も混じりながら稲が頭を重そうにしています。
草の混じった稲をザクザク刈りましたが、足元にはタニシがごろごろいてびっくり!こどもたちは稲刈りよりバッタやカエルやタイコウチ、たくさんの種類の溝や田んぼの生き物をとるのに夢中。
晴天の空にはコウノトリが飛び、電柱や屋根やいろんなところにとまっていました。なんとのどかでおだやかな風景でしょう。
日本の農村の原風景はこうではないかと感じました。
また、昔の人は、機械なしでの作業をされていたたんだなーと大変さを感じ、
子どもの頃「お米を粗末にして残すとお百姓さんに悪いよ」と母にいわれたことを思い出しました。
コウノトリが増えるに従って無農薬や減農薬の田んぼが広がっていったと言うことですが、コウノトリを中心に幸せな好循環を生んでいることを実感します。
農薬のないところしかコウノトリは来ないそうなので、「コウノトリ、我が家の田んぼにも来て欲しい」と皆が願う気持ちがとてもわかりました。
そして、田んぼの案内をしてくださった富岡さんは、
「わしらはもう、農薬の入った米食べてきたけど、子供たちには、虫も食べない(虫も寄り付かない?)米を食べさせるわけにはいかん」とおっしゃったのが印象に残りました。
この辺りの学校給食は「コウノトリ育むお米」とのこと、とても羨ましく思いました。
コウノトリの郷
想像以上にコウノトリがたくさん飛んでいた「コウノトリの郷」ではまずビデオで取り組みの歴史などを学びました。
人びとの生活の中にあり、愛されてきた野生のコウノトリは、農薬の影響で繁殖ができなかったり、エサとなる生物が姿を消したことから、1971年に絶滅しました。
1965年から飼育下での保護、繁殖活動が始まり、農薬をできだけ減らしながら田んぼの生き物を増やす「コウノトリを育む農法」の普及が進められていたそうです。
努力の末、2005年人工飼育によるコウノトリの野生放鳥が始まってから、2018年8月現在140羽が野外で生活しているそうです。
農薬や除草剤で絶滅したコウノトリを復活させようと頑張った方がおられ、町ぐるみで農薬を減らしていった結果、コウノトリの繁殖にも成功し日本中に飛んで行っているというその事実に触れ、驚き、感動しました。
今、四国の田んぼにもコウノトリが住んでいますが、、但馬から飛んで行ったんだと分かりました。
さて、いよいよ、午後3時の餌やり。コウノトリがどんどんあつまってきました。餌はニジマスや鰯だそうです。
コウノトリと同じくらいの数のシラサギ、アオサギ、そして鴉もやってきて、餌を食べていました。
間近で見るコウノトリは大きく嘴が黒くて大きかったです。羽を拡げ、スーッと雄大に飛ぶ姿の格好いいこと、とても感動しました。
コウノトリは肉食する鳥の中で最大の鳥だそうです。コウノトリが棲める豊かな町がどんどん広がっていくことを心から願いました。
このような取り組み、生産されたお米の物語を組合員のみなさんに伝え、みなで買い支えることが大切だと思いました。
今年も無農薬米がたくさんとれるので、是非多くの組合員の方々に食べてもらえればいいな、と思いますし、皆さんに実際の田んぼも見てもらいたいと思います。
きっと、環境、体に悪いことは、みんなしたくないのだと思いますが、わかりやすいものがないから、気づかずにいるのではないでしょうか。
体や環境への影響を「コウノトリ」のおかげで気付くことができた地域のJAの方や住んでおられる方々の環境、農薬、等への意識が変わり、それが少しずつ、広がっています。
この食と環境の良い連鎖がさらにどんどん広まったらいいなーと心から思いました。